「井上尚弥vs.ネリ」勝敗予想 タイソンが敗れた東京ドーム戦から34年、モンスターを苦しめる“番狂わせ”のシナリオとは…… | CYCLE やわらかスポーツ情報サイト

「井上尚弥vs.ネリ」勝敗予想 タイソンが敗れた東京ドーム戦から34年、モンスターを苦しめる“番狂わせ”のシナリオとは……

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「井上尚弥vs.ネリ」勝敗予想 タイソンが敗れた東京ドーム戦から34年、モンスターを苦しめる“番狂わせ”のシナリオとは……
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世界スーパーバンタム級4団体統一王者、井上尚弥(大橋)の防衛戦が5月6日に迫った。相手は元世界2階級制覇王者、ルイス・ネリ(メキシコ)。4本のベルトがかかる大一番、さらに34年ぶりの東京ドームでの興行と話題性も高い。いったい、どんな試合になるのか、勝負の行方を占ってみたい。

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■山中慎介との因縁が鮮明な悪童

ネリといえば、山中慎介との因縁が記憶に鮮明だ。2017年8月15日、WBCバンタム級王者だった山中は、具志堅用高が持つ同一王座の連続防衛記録、13回をかけて島津アリーナ京都にネリを迎えた。試合はネリの強打が炸裂し、山中は4ラウンドKO負けを喫してしまった。ところが、試合後、ネリのドーピング違反が明らかに。最終的にネリの王座は公認されたが、後味の悪い決着となった。

第2戦は2018年3月1日。今度はネリが前日計量で1.36キロの体重超過を犯し、試合前に王座剥奪。しかも、試合当日になんとか体重を作って試合が成立すると、またも山中をKOしてしまった。山中は引退、ネリは“悪童”のレッテルを貼られた上に日本への“出入り禁止”となった。

ネリの悪童ぶりは山中戦だけに止まらない。2019年7月のファン・カルロス・パヤノ戦、同年11月のエマヌエル・ロドリゲス戦と連続で体重超過を犯している。ロドリゲス戦では2度目の計量を拒否して試合をキャンセルしてしまった。今回、大橋会長が「1ポンドでも超過したら試合はやらない」と強い態度で臨んでいるのも当然と言える。

■スイング系の左右フックは破壊力抜群

ネリの戦績は35勝(27KO)1敗。井上の26戦全勝(23KO)に見劣りはしない。最も警戒しなければいけないのは、山中戦で見せたスイング系の左右フック。特にサウスポー・スタンスから打ち下ろす左は破壊力がある。いくらモンスターと言えども、まともに受けると危ない。

リング外のトラブルも相まって、ネリはラフなファイターと思われがちだが、実はそうではない。2021年のアザト・ホバニシャン(アルメニア)とのWBCスーパーバンタム級王座決定戦では、ガードを固めるホバニシャンにコツコツと的確にパンチを当て続け、11ラウンドに倒し切ってテクニックがあるところを見せつけた。

唯一の敗戦は、2021年5月のブランドン・フィゲロア(アメリカ)とのWBC、WBA統一戦。この試合は両者接近しての乱打戦となり、6回まではネリがリードしていた。しかし、7回にフィゲロアの強烈なレバーブローが決まるとネリは悶絶、立ち上がることができなかった。ポイントは取っていたが消耗も激しく、スタミナ面の不安やボディの弱さが指摘される結果となった。

■名チャンピオンの域に達したモンスター

試合前の予想は、チャンピオンの井上が圧倒的に有利。モンスターの充実ぶりを考えれば、当然と言えるだろう。サウスポーは苦にしないどころか得意としているし、スピードやパンチの威力、どれをとっても井上が勝っている。

ノニト・ドネア(フィリピン)との第1戦が唯一、苦戦した試合だが、それ以降の5年間に行った7戦はすべて完璧なKO勝利を上げている。過去に偉大なボクサーはたくさんいるが、完勝を続ける選手は多くない。ボクシング史に名を残す名チャンピオンの域に達していると言っていいだろう。

■ネリの接近戦か、チャンピオンのカウンターか

では、ネリはどんな戦い方を選ぶだろう? 挑戦者にチャンスがあるとすれば、接近戦に持ち込んでラフな打ち合いになったときだろう。井上は頭をつけての殴り合いを経験したことがない。ネリが接近して左右のフック、アッパーを叩きつければ、バッテイングによる出血など意外な展開も考えられる。モンスターを苦しめるとすれば、この戦い方だけだ。距離が長いボクシングでは相手にならない。

一方の井上は鋭いジャブで突き放し、接近戦を拒むはずだ。そして、入ってくるところに右ストレート、左フック、左ボディと多彩なカウンターを当てるだろう。ネリが勝負を仕掛けてくれば、逆に早いラウンドのKOもあり得る。

34年前に東京ドームで行われたタイトルマッチは、マイク・タイソンがジェームス・ダグラスにKO負けを喫した“世紀の番狂わせ”だった。あのとき、ダグラスの勝ちを予想した専門家は皆無だった。再び同じことが起こらないことを祈りつつ、じっくりと見届けたい。

■豪華! 世界戦3試合がアンダーカードに

今回の興行はアンダーカードも楽しみだ。元キックボクシングのヒーローで8戦8勝(8KO)の武井由樹がWBO世界バンタム級王者、ジェイソン・マロニーに挑む。また、初防衛戦を快勝したWBA世界バンタム級王者、井上拓真は、2度の世界挑戦経験があるベテランの石田匠の挑戦を受ける。

さらに、倉敷から生まれた強打のWBAフライ級チャンプ、ユーリ阿久井政悟が桑原拓を迎える初防衛戦もスリリングな打ち合いになるだろう。4つの世界戦はアマゾン・プライムで観戦できる。放映開始は17時だ。

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